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フィンランドからこんにちは、略して「フィんにちは」ブログ

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ヨーロッパの難民問題を心のどの引き出しにしまうべきか解らない

ここ最近のフィンランドで話題になっているのは、もっぱらヨーロッパへ押し寄せる難民問題である。
テレビ、新聞、ネットで大きく取り上げられ、フィンランドが難民をどう受け入れるのか、受け入れにかかるお金はどうするのか、などの議論がされている。

日本にいると難民と話しをする機会はほとんどない。
そもそも出会わない。
しかしフィンランドで難民は身近な存在で、移民向けのフィンランド語学校の半分は中東、アフリカ系難民だったし、今通っている学校のクラスメイトにもイラクからの難民がいる。
そのイラクの子とは仲が良く、彼女がヨーロッパへたどり着き、フィンランドで難民として受け入れられるまでの話しを聞いた時は、その壮絶さに言葉を失った思い出がある。

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先日、フェイスブックに難民の宿泊所となっている緊急センターへ寄付をつのるイベントのお知らせが入っていた。
緊急センターのベッドは既にいっぱいで、倉庫に簡易ベッドを作って急場をしのいでいる状態。
物資不足は深刻で、衣類やベッドカバー、大人数に対応できる調理器具などが必要である、という内容が書いてあった。
ちょうど使っていない新品のシーツが2枚あったので、私は寄付しようと決めた。

そんな中、ちょっと衝撃的なニュースが入ってきた。
フィンランド北部の町、オウルで難民がハンガー・ストライキを起こしたというものであった。

ハンガー・ストライキとは飲まず食わずで座り込みをし、自分たちの主張を世間に広めるというものだ。
フィンランドは難民に対して、無料の簡易宿泊所、食事を提供している。
感謝されこそすれ、いったいどんな不満が?、というと食事のクオリティであるという。
難民は2週間にわたり、無料提供される食事に対して改善を求めていたが、対応されないのでストを起こしたということだった。
現場の状況を取ったビデオを見ると、50人くらいの男性が警察署の前で座り込みをしていた。

Tällainen ateria hiertää turvapaikanhakijoita Oulussa – “suomalaista perusruokaa” – IL-TV

その中の1人が宿泊所で提供されたお粥を手に
「これは悪い米だ!俺なら犬にやる!」
とカメラに向けてアピールしていた。
それは「どうだ、こんなヒドイ飯を俺たちは食わされているんだ!」というメッセージであった。

私は固まった。
いや、全フィンランド人が固まったに違いない。
彼がヒドイと言った米は、プーロと呼ばれるフィンランドのお粥料理だったからだ。
豚肉など宗教上の理由で食べられない人に配慮した献立である他は、地域の学校、幼稚園で出される食事と同じものがその避難所では提供されている。
その映像で出された「悪い米」を、昼ごはんとして食べたフィンランド人が何人もいるのだ。

フィンランド料理であるプーロを「犬にやる!」と評価されたのは、残念としか言いようがない。
だが、学校で出される食事が人権を侵害するほどのクオリティであるはずがない。
食文化の違いに過ぎない。

確かに学食で出されるプーロはそれほどおいしくない。
しかし格安なので文句を言おうとは思わないし(私の学校では1ユーロあればお腹いっぱい食べられる)、嫌なら食べなければ良いだけだ。
パンを多めにとるとか、スープを多めによそってもらうなど、お腹を満たす方法はあるはずだ。

この事件に対してフェイスブックでは、
「感謝の気持ちがないよね」
「ホテルのようなサービスを期待していたら大間違いだ」
というフィンランド人のコメントが踊っていた。
タピオさんも「タダの料理に文句言うの?ハンストするなら好きなだけすれば?」と冷ややかなコメントをしていた。
私もそう思ったし、些細な食文化の違いを受け入れない難民にまでフィンランドは税金をかけてやるのか、と思うと腹もたった。
シーツの寄付なんかするものか!と思った。

さて、その後Viceというサイトで不法越境をする難民のドキュメンタリーを見たら、その悲惨さに今度はむくむくと「気の毒だな。自分がなにかできるかな?」という気持ちが生まれて来た。
その後フェイスブックで、難民とかこつけてお金をせびろうとする人の写真を見た。
私は混乱した。

自分や家族を守るため、祖国を離れるのは本当に辛いことだろう。
でも本当に助けが必要な人は誰なのだろうか。
困っている人は助けたい。
でもハンストには腹が立つ。
感情を抜きにして社会問題としてみるべきで、私は「こうあってほしい」という難民像を彼らに押し付けいるのだろうか。

そう、私はいまだにヨーロッパ難民問題を心のどの引き出しに入れるか、解らないのである。

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